新型コロナウイルス第三波の渦中、不気味なニュースです。
高病原性鳥インフルエンザが多数の県の養鶏場で確認され、殺処分が行われています。
近畿では、11月25日以降、兵庫・奈良・和歌山・滋賀県の養鶏場でも鳥インフルエンザの検出が相次ぎ和歌山県では、12月10日、養鶏場で飼育中の採卵用の鶏およそ6万7千羽の処分を決め、陸上自衛隊に災害派遣も要請されています。
本日は、大阪府との府県境の和歌山市と橋本市に設置された消毒ポイントに、現場視察に伺いました。
この大変な作業を行なっていただいているのは奇遇にも、富田林市にございます菊水警備保障株式会社さんでした。
現地では社長自ら陣頭指揮を執り、ドライバー等の方には消毒液が染みこんだマットを踏み、靴底を清潔にし、白い防護服姿のもと車両のタイヤには消毒液が吹きかけられ、県外(大阪)へウイルスを持ち込ませない対策に当たっておられました。
鳥インフルエンザは、今年は流行り年だと業界では言われていたそうで、中には、鳥インフルエンザ防止に有効とされていた窓の無い鶏舎においても発生が確認されており、消毒に有効な消石灰を何度もまいて対応するなど、例年以上に対策を強化してこられたそうですが、残念ながら殺処分となった鶏などは過去最多を更新しています。
一般的には、人への感染は無いと言われていますが、1997年には、香港で鶏に感染したH5N1型ウイルスが18人に感染し、6人が亡くなられましたし、その後もベトナムやインドネシア、中国、カンボジアなどで、やはり鶏から人間に感染、死者が発生し、2003年から2016年の時点で、世界で452名の方が亡くなられています。
どうしてこれだけの殺処分を行うかと言いますと、家畜伝染予防法上、法定伝染病として位置づけられており、発生した場合は、拡大を防ぐために直ちに感染した鳥の焼却または埋却などの殺処分が義務付けられております。
もう一つの理由としては、鳥インフル由来の新型ウイルス対策でもあります。
実は、他の動物から種を超えて感染するようになったウイルスは非常に恐ろしい、とされています。
例えば、サルからチンパンジーから人間へと感染したHIVウイルスや、コウモリから人間へ感染したとされるエボラ出血熱などが挙げられます。
これらとは違い、鳥インフルエンザウイルスは、通常は人間への感染性を持ちませんが、遺伝子の突然変異は否定できませんし、何より新型コロナ同様、鳥インフルエンザウイルスに有効なワクチンは無いので、集団感染などが起きればひとたまりもありませんから、防疫を徹底することは当然であります。
もちろん処分を徹底しており、感染した鶏やその卵が食品として市場に出回ることはありませんし、食品として調理された鶏肉や卵などを食べて感染した例はありません。
とは言え、鶏肉や卵を扱われる関係者にとっては風評被害は大きな不安要素です。これから鶏肉や卵が需要のあるシーズンを迎えますが、鳥インフルエンザがさらに広がると出荷が滞る可能性もあり、買い控えなどにも繋がらないことを祈るばかりです。
関係者の皆様のご努力に敬意を表しますと共に、私も環境農林水産常任委員会委員として、今後も情報収集に努めます。